オーロラ ストーリーズ

カヌーイストの憧れ、ユーコン・リバーのもうひとつの魅力
ある夜、僕らはオーロラに照らされた

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ユーコン川ツーリング術。いつかは下るぞ、彼の川を

ユーコン川でもっともポピュラーな川下りのコースと言えば、ホワイトホースからドーソンまでの約740km、だいたい2週間くらいのペースで下るのが普通だ。ほぼ中間点のカーマックスまでとしても9日ほど。それでも日本の休日では長すぎるから、合わせるならホワイトホースからレイク・ラバージを水上機でスキップして、ロワー・ラバージを出発点とする。そしてゴールはほぼ中間点のカーマックス。そこで約210kmの川旅となる。ツアーの場合は余裕が必要なので、その60kmほど手前にあるリトルサーモンビレッジがゴールとなっている。

ところで「水曜どうでしょう」ではタレントの大泉洋がいきなりユーコン川に連れられて、強制的に川下りをさせられたが、実際そんなことは可能なのだろうか。多少の体力と数泊のキャンプ生活の適合性があればイエスである。ただその場合は、7月から8月中旬頃までのいわゆる夏のシーズンであり、ガイドツアーへの参加という形が無難。

そして身一つでホワイトホースに放り込まれても、ウェアからキャンプ道具、釣り道具に至まで揃えることができる。カヌーピープルなどの大きなアウトフィッターでは、カヌー一式はもちろん、キャンプ道具や食料を入れるバレルまで貸してくれる。ただ、すべてを揃えてくれるアウトフィッターでも、ウェアだけは自前が必要だ。特に防寒対策。8月中旬でも夜はかなり冷える。ダウンジャケットと同時に雨具、ウィンドブレーカーなどの防寒着は必携。インナーについても自分が考えているよりも+2枚くらいは考えたい。

考えかたとして、日本から重い荷物をえっちら持ってくるよりも、時間があればこちらで購入してしまうのもひとつの方法論である。日本でも使いたければ、そのまま船便で送ってもいいだろう。

カヌーピープルで初めてのカヌーイングでツアーに参加した翌年には、自分たちだけで下ってしまった女性二人組もいる。「あこがれ」が現実のものとなったあとも、リピーターとなる魅力がこの川にはあるのだろう。

レンタルカヌーについては、夏のハイシーズンは予め事前予約しておく方が確実。そして回収もカーマックスやドーソンまで来てくれる。自分のカヤックを使うとしても、カヌーピープルなどのアウトフィッターには訪れたい。というのは川地図とフィッシングライセンスを購入できるからだ。川地図は毎年改訂されている優れもので、川くだりには必携の情報である。

そして食料はツアーで参加する限りは必要無いが、釣りをするならルアーやリーダー(パイクを釣るためにはワイヤー製のリーダーがいる)は必要だ。自分たちで川下りをするなら、夏はアラスカへのキャンパーも相当数訪れるので、キャンプ向きの食料やアウトドア用品はいくらでも購入することができる。しかしホワイトホース以外ではほとんど調達することはできないので、そのため購入計画は綿密に立てる必要がある。

衛星携帯電話も短期でレンタル可能。カヌーピープルでは1週間$150、通話料1回$5とのこと。持って行かないという選択肢もあるが、持って行くことを強く勧めたい。一回川に出れば、カーマックスまでは何もない。

そしてユーコン川の水は飲用には適さないので、飲料水を持って行く必要がある。それがもっとも重く、大きな荷物となってしまうことは致し方ない。

カヌーでユーコンを旅することは、場所と方法によってはさほど敷居の高いものでは無い。だが、普段都会生活をしている人々にとっては、大いなるエクスペディションであることは確かだ。僕には中学2年生と小学3年生の息子がいるが、今年は上の息子とユーコンを旅する計画を立てている。親が息子のためにという一方的なものではなく、自分にとっても何か得られるもの、いや双方が双方のために共通の価値観を得られるもの、何か二人の間に残してくれる旅ができると確信と期待を持っているのだ。

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ある夜、僕らはオーロラに照らされた
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著者プロフィール

西沢 あつし (にしざわ あつし)

カヌー・カヤックを中心に執筆活動を展開している。舵社の専門誌「カヌーワールド」ディレクター。主な著書「シーカヤックで海を遊ぼう」(舵社)、「親子で楽しむSL旅行」(山と渓谷社)など。現在、ロードバイクの本を執筆中。その他旧車やキャンピングカーにも寄稿歴がある。
ホームページ(舵社カヌーワールド)