オーロラ ストーリーズ

オーロラ大爆発に出会う旅
光が僕を包み込む極上の時間

3

アクティブ&ストーム

この極北の地には、天気予報ならぬ「オーロラ予報」なるものがあるそうだ。神秘の光に出会える可能性は、順に「アクティブ」「モデレート」「カーム」の3段階で予報される。

僕らがイエローナイフに到着する前日、つまり木曜日は、「アクティブ」という予報に「ストーム」という言葉が加わっていたと教えてもらった。

でもその予報は外れ、僕らが到着した夜に、1日遅れで的中した。

しかも、「アクティブ」&「ストーム」の状態は、ブラッチフォードレイク・ロッジでの二日目の夜も続き、オーロラはまたしても僕らにブレイクアップを見せてくれた。それも、昨夜よりさらに大きな爆発を。

今夜もまた防寒着に身を包んでロッジの外に出る。昨夜と同様、気温はゆうにマイナス30度を下回る。広がる視界は360度。当然だ、本来は「湖面」なのだから。

その360度の夜空を、オーロラはまたも白っぽい帯のように東西の方向に伸びていた。

ブレイクアップが始まるとすぐに、僕は「湖面」に寝っころがり、大の字になった。オーロラ大爆発のすべてを見届けるために。そして、見える限りのものをこの目に焼き付けるために。

オーロラの本数がどんどん増えていき、ロッジの上空で龍のようにぐるぐると円を描き、回り続け、そして夜空を覆い尽くした。

背中に少しだけ湖面の冷たさを感じながら寝そべる僕の上で、龍が夜空を駆け巡り、視界のすべてをオーロラの光が包んでいく。

今夜、僕の頭の中で鳴り響いたのは、昨夜とは違う「もわん、もわん」という音。

龍によって広がった光は膨らんで膨らんで膨らみ続けた後、一気に地上へと急降下してきた。

光の大瀑布が、冷え切った大地へと猛スピードで流れ落ちてくる。凍った湖面に寝そべる僕の身体へと光が降り注ぎ、ぶつかり、体内へと光の粒が流れ込んでくるかのようだ。

オーロラは鮮やかな緑色だと思い込んでいたけど、肉眼で見るとむしろ白っぽい。その中に緑などの色が見てとれる。

でも、カメラを一定時間、露光して撮影することでイメージ通りの鮮やかな色になる。

僕は見ることができなかったけれど、カメラマンは午前4時ごろまで粘り、極めて珍しい赤いオーロラの撮影に成功した。

途中、あまりの寒さのためカメラのバッテリーの調子が悪くなり、取り出しては手でこすって温め、また撮ったのだという。

カメラマンには悪いけれど、撮影に追われずに大の字になってオーロラ大爆発を見届けることができたのは、これ以上にない幸せだったと思う。

もっともカメラマンの方は、それに満足してロッジに引き上げたために、赤いオーロラを見逃した僕を哀れなヤツだと思っているだろうけど。

オーロラ大爆発に出会う旅
光が僕を包み込む極上の時間
  1. 贅沢な時間が始まった
  2. 真っ白で真っ平ら
  3. アクティブ&ストーム
  4. カリブーが舞い降りる
  5. 僕の一番のお薦め
  6. 極北の地の移動手段
  7. さらに楽しむ方法は

著者プロフィール

平間 俊行 (ひらま としゆき)

国内の報道機関で記者として政治取材や選挙報道に携わった後、現在は管理職として別分野の事業を担当。一方で、地方勤務時には決して「全国区」ではない地元の祭りなど、歴史や文化の奥深さに触れる取材のために歩き回り、さらに一方では度々カナダを訪れ、その素晴らしさを記事として伝え続けている。